入力遅延・応答時間・リフレッシュレートの違い:ゲーム画面の選び方
高Hzでも残像はあり、低い画素応答時間でも入力遅延は残ります。各指標の役割と、対戦・家庭用ゲーム・映像重視での優先順位を整理します。

入力遅延、画素の応答時間、リフレッシュレート、FPS、動きの鮮明さは、ゲームの表示経路の異なる部分を表します。「1 ms」のモニターにも入力遅延はあり、240 Hzでも残像は生じます。120 FPSでも、各フレームの時間がばらつけば不安定に感じられます。
全体を理解するには、操作してから対応する変化が光として見えるまでの時間を考えます。コントローラー、OS、ゲーム処理、CPU・GPUの描画、待ち行列、伝送、表示処理、走査、画素の変化が含まれます。製品の宣伝は、このうち1段階だけを強調しがちです。
操作が画面に現れるまで
- 入力の取得:コントローラーとPC・ゲーム機が操作を報告します。
- ゲーム処理:入力を読み、次の状態を計算して描画を準備します。
- 描画:CPUとGPUが次の画像を作ります。
- 待ち行列と同期:バッファ、V-Sync、FPS上限、描画待ちが表示時刻を決めます。
- 伝送:HDMIやDisplayPortが画像を送ります。
- 表示処理:拡大、トーンマッピング、動きの補間、ローカルディミングなどが遅延を加える場合があります。
- 走査と画素の変化:画面を順に更新し、画素が新しい値へ変化します。

入力遅延とは
表示機器の入力遅延は、信号が届いてから画像が表示され始める、または測定位置に達するまでの時間です。測る方法によって定義が違うため、位置、信号、更新速度、モード、測定法をそろえて比較する必要があります。
テレビのゲームモードは、映像処理を省略・簡略化して遅延を減らします。HDMIのALLMは、この低遅延モードへの切り替えを送信側から要求する機能です。遅延の小ささを認証するものではありません。
同じテレビでも1080p、1440p、4Kの処理が異なる場合があります。最良の数字1つではなく、実際に使う解像度と更新速度で確認してください。
画素の応答時間とは
応答時間は、画素がある値から別の値へ変わる速さです。Gray-to-Grayは輝度の異なる階調間を測りますが、最速の変化と平均は同じではありません。強いオーバードライブは目標へ速く到達しても、行き過ぎて逆残像を生むことがあります。
箱の「1 ms」は、特定の階調、設定、動画の指標、測定しきい値だけを示している可能性があります。見える乱れまで含むとは限りません。VESAのClearMRは、単一の時間では表しきれない動きのぼやけやオーバーシュートを評価するために作られました。
遅い変化は尾を引き、速くても制御が悪ければ明暗の縁が残ります。実際に使う更新速度の範囲で、速度と行き過ぎを両立する設定が重要です。
リフレッシュレートで変わること
リフレッシュレートは、画面を1秒間に何回更新するかです。1回あたりの時間は次のようになります。
| 更新速度 | 1回の時間 |
|---|---|
| 60 Hz | 16.67 ms |
| 120 Hz | 8.33 ms |
| 144 Hz | 6.94 ms |
| 165 Hz | 6.06 ms |
| 240 Hz | 4.17 ms |
更新が速ければ、新しい画像を見せる機会が増えます。FPSも上がると、画像を保持する時間に由来するぼやけも減ります。ただしゲームを強制的に速くする機能ではありません。40 FPSのゲームを120 Hz信号で送っても、新しいゲーム画像は毎秒40枚です。
FPSとフレーム時間
FPSは一定期間の枚数、フレーム時間は各1枚の長さです。60 FPSは約16.67 msですが、8、8、34、16 msと並ぶ場合、等間隔の60 FPSとは感じ方が変わります。
高い平均と頻繁な停止より、間隔が安定した方が快適な場合があります。VRRはフレームの完成に更新を合わせ、画面の裂けや周期の乱れを抑えますが、遅い1枚の処理時間は消せません。
走査と測定位置
多くのディスプレイは全画素を同時に変えず、順に更新します。上部は中央や下部より先に新しい画像を表示できます。60 Hzでは上下の差が約1更新分に近づく場合があり、120 Hzではその時間がおおむね半分になります。
上、中央、下で測った遅延が同じにならない理由です。レビューでは測定位置や標準化した方法が示されているかを確認してください。
60 FPSでも120 Hz出力が役立つ場合
60 FPSの画像を繰り返して120 Hzで出力すると、1回の走査が短くなり、表示側も遅延の少ない処理を使う場合があります。ゲームの描画時間は残りますが、伝送や走査を短くできる可能性があります。効果は作品と画面に依存します。
HDMIのQuick Frame Transport(QFT)も、有効な画像部分を速く送って伝送時間を短くする機能です。送信側と表示経路の対応が必要で、HDMI端子があるだけでは全オプションへの対応を意味しません。
VRR、V-Sync、画面の裂け、遅延
同期しない場合、走査中に次の画像へ切り替わり、裂け目が見えることがあります。従来のV-Syncは表示機会を待つため、タイミングを逃すと待ち時間が増える場合があります。VRRは対応範囲内で更新間隔を変えます。
遅延を抑えるには、VRR範囲内の無理のないFPS上限、不要な描画待ちの削減、ゲームとドライバーの低遅延機能の相性を確認します。すべてのエンジンに共通する上限値はありません。
動きの鮮明さは応答時間だけで決まらない
サンプル・アンド・ホールド方式では、1枚を表示し続ける間も目が動く物体を追います。そのため画素が速く変化しても、見かけのぼやけが生まれます。更新速度、FPS、適切なバックライト点滅は改善に役立ちますが、点滅は明るさの低下、ちらつき、VRRとの併用制限を伴う場合があります。
OLEDは画素変化に由来する残像を減らせますが、保持表示によるぼやけは残ります。LCDでも、オーバードライブが適切で高い更新速度なら、動きを鮮明に表示できます。
モニター仕様の読み方
- 使う解像度と更新速度での独立した入力遅延測定を見る。
- 最速の1結果だけでなく、多くの階調の応答時間を見る。
- オーバーシュートと逆残像を確認する。
- 最大HzだけでなくVRR範囲全体を見る。
- 低遅延モードでローカルディミングやHDRなどが制限されないか確認する。
- パネル本来のHzと、補間を含む宣伝上の数値を区別する。
用途別に優先したいこと
対戦ゲーム
安定したフレーム時間、PCが維持できる高いHz、低い処理遅延、適切な画素応答、過剰な逆残像のないモードを優先します。
家庭用ゲーム機
目的の解像度、120 Hz、VRR、HDR、ALLMに対応するHDMI経路を確認します。PS5の120 Hz・VRR・HDR設定ガイドで接続全体を点検できます。
映像を重視する1人用ゲーム
最大Hzより、安定した間隔、HDR、コントラスト、十分に低い遅延が重要になります。対応作品では、120 Hzでの安定した40 FPSモードが画質と滑らかさの折り合いになる場合があります。
解像度、画面サイズ、視聴距離
高解像度は入力遅延を直接減らさず、描画負荷を増やす場合があります。PPI・視聴距離計算ツールで画素密度と視野角1度あたりの画素数を比較し、ゲーム用モニターの選び方で接続と機能を確認してください。
表示までの経路全体で評価する
入力遅延は表示が始まる時刻、応答時間は画素の変化、Hzは更新頻度、フレーム時間はゲームの描画速度と安定性を示します。動きの鮮明さには、それらと表示方式が関わります。箱の大きな数字だけでなく、実際の経路を評価しましょう。
ソース
- HDMI Quick Frame TransportHDMI Licensing Administrator
- HDMI Auto Low Latency ModeHDMI Licensing Administrator
- HDMI可変リフレッシュレートHDMI Licensing Administrator
- VESA ClearMRの適合試験プログラムVideo Electronics Standards Association · 2022-08-22
