PCゲームのカクつき診断:フレーム時間から原因を切り分ける
設定をまとめて変えず、同じ場面を繰り返して比較。カクつきのパターンから、ゲーム・ソフト・ハードウェアの原因を絞り込みます。

カクつきの原因は1つではない
カクつきには、シェーダーコンパイル、データ読み込み、CPUの処理集中、GPU負荷、VRAMからのデータ退避、ストレージ待ち、通信の中断、不安定なオーバークロック、温度制限、常駐処理などが関係します。10個の対策を同時に行うと、症状が変わっても原因は分かりません。
問題を再現し、フレーム表示のパターンを記録して、1項目ずつ変えます。フレーム時間・FPS変換ツールで平均、1% low、0.1% lowをミリ秒へ換算すると、値の関係を理解しやすくなります。
手順1:症状を具体的にする
- ある効果が初めて出るときだけ起きるか。
- 同じ扉、角、エリア境界で起きるか。
- 数分遊んでから始まるか。
- 視点移動、爆発、メニュー、オートセーブ、通信に続いて起きるか。
- 一瞬の引っ掛かり、継続する低FPS、入力遅延、映像の裂けのどれか。
ゲーム版、ドライバー、設定、解像度、表示モード、FPS上限、常駐アプリを記録します。「昨日は重かった」という記憶だけでは、同条件の比較になりません。
手順2:平均FPSだけでなくフレーム時間を記録する
PresentMonなどのWindowsトレースを使うツールは、フレーム時間や遅延を記録できます。グラフなら平均に隠れる単発の突出や反復パターンが見えます。計算方式の異なるlow値を比較する前に、フレーム時間とFPSの解説を確認してください。
同じ60〜120秒の経路を最低2回試します。初回はキャッシュ生成を含む場合があり、2回目で問題が残るかを確認できます。

手順3:発生パターンを分類する
初めて見る効果で起きる
パーティクル、マテリアル、場面の初登場で起き、2回目に減るなら、シェーダーやパイプライン状態のコンパイルが候補です。シェーダーコンパイルの解説で、キャッシュ、無効化、実行中の生成が遊びを止める理由を確認できます。
同じ場所への移動で起きる
同じ境界で繰り返すなら、アセット読み込み、展開、オブジェクト生成、背景処理のスケジューリングが候補です。遅い視点移動、低いテクスチャ設定、別ストレージ、2回目の通過を比較します。
GPUの継続負荷が高い
場面が複雑になるにつれてフレーム時間が増え、GPUが高負荷を保つなら、解像度、レイトレーシング、影などを下げます。アップスケーリングは描画量を減らせますが、フレーム生成は不安定な基本FPSを修復しません。アップスケーリングとフレーム生成で違いを確認してください。
VRAMへの圧迫
テクスチャ、レイトレーシング、解像度、長時間プレイに伴って悪化するなら、ビデオメモリの利用可能予算を確認します。VRAMガイドでは、割り当て量と必要量の違い、OSの予算超過でデータ移動とカクつきが起きる理由を説明しています。
CPUや常駐処理の集中
CPU全体の使用率が低くても、1本のゲームスレッドが限界の可能性はあります。コア別動作、オーバーレイ、録画を比較し、不要な自動起動処理を一時的に減らして同じ経路を試します。通常の監視で足りなければ、Windows GPUViewでCPU・GPUの処理待ちを詳しく追えます。
手順4:既知の安定状態へ戻す
CPU、GPU、RAMのオーバークロックと、未検証の低電圧化を解除します。エラーが疑われるならメモリも安定した設定へ戻し、実験的なドライバー設定を外して、ゲームの初期設定を比較基準にします。
組み立て直後や部品変更後は、初回起動と安定性のチェックリストでPOST、ファームウェア、RAM、温度、ドライバー、段階的な負荷試験を確認してください。
手順5:設定を種類別に試す
- GPU負荷:解像度や明らかにGPUへ重い設定を下げる。
- VRAM:テクスチャ、レイトレーシング品質、高解像度パックを下げる。
- CPU負荷:群衆、シミュレーション、描画距離、CPUに重いレイトレーシングを下げる。
- データ読み込み:ストレージ、テクスチャ、移動時の挙動を比較する。
- 同期:維持できるFPS上限、VRR、表示モードを試す。
1種類だけ変え、同じ経路で結果を記録します。変わらなければ元へ戻して、次の仮説を試してください。
手順6:温度・クロック・電力を記録する
CPUとGPUの温度、周波数、使用率、電力を記録します。温度問題は単発の突出より継続したクロック低下として出やすいものの、冷却不足が時間とともに不均一な挙動を起こす場合もあります。急な再起動、暗転、保護停止は、ハードウェアの安全性を確認する必要があります。
PC電源容量見積もりツールで継続負荷、瞬間負荷、目標使用率を計算し、PC電源の選び方で端子、品質、寸法、メーカー条件を照合します。
手順7:ストレージとシステムメモリを確認する
空き容量とドライブの状態を確認し、更新、スキャン、ファイルコピーとゲームが競合していないか調べます。RAMのエラーは、分かりやすい診断表示ではなく、アプリのクラッシュやデータ破損として現れる場合があります。実際に使う設定でメモリを試してください。
手順8:常駐ソフトを減らして比較する
常駐処理が疑わしい場合はクリーンブートや最小限の起動状態を使います。最初からWindowsを入れ直す必要はありません。オーバーレイ、監視、録画、RGB、基板ツール、セキュリティースキャンを先に比較します。ドライバーの更新・旧版への復帰は、問題が始まった時期と一致する場合に1つずつ行います。
手順9:ゲーム側の問題か確認する
複数の安定したPCで同じ位置に同じ引っ掛かりがあり、設定でも消えないなら、ゲームやエンジンが原因かもしれません。開発者の更新情報と再現可能な報告を調べてください。エンジンの問題を追って、正常なPCを不安定にしないようにします。
比較用の記録表
| 試行 | 変更1項目 | 平均 | 1% low | 再現する最大の引っ掛かり | 判断 |
|---|---|---|---|---|---|
| 基準 | なし | 記録 | 記録 | 場所・時間 | 発生パターン |
| 試行1 | テクスチャを1段下げる | 記録 | 記録 | 比較 | VRAMが原因か |
| 試行2 | 標準クロック | 記録 | 記録 | 比較 | 安定性が原因か |
直ちに中止する状況
焦げた臭い、損傷、液体、火花、熱いケーブル、保護停止の繰り返し、急な温度上昇があれば試験を止め、電源を外して確認します。PC自作ガイドは部品と組み立ての参考になりますが、電気的損傷はソフト設定では解決できません。
再現して1つずつ切り分ける
再現、記録、分類、1項目の変更を繰り返します。フレーム時間の証拠で候補を狭め、発生条件で原因の種類を見極めてください。小さく条件をそろえた比較が、修正への近道になります。
ソース
- PresentMon:描画性能の記録と分析Intel GameTechDev
- GPUViewの使い方Microsoft Learn
- Unreal EngineのPSO事前キャッシュEpic Games
- DXGI_QUERY_VIDEO_MEMORY_INFO構造体Microsoft Learn
